キスマーク製造機

数年前、止むに止まれぬ事情によりキスマーク製造機を考案した。これはゴムホースのようなものの片方を己が口に、もう片方を己が首の任意の場所にあてがう。そしてゴムホースを吸うとキスマークができるという代物だ。これを思いついた時は己が才能が恐ろしく思えたものだ。仮に発明王エジソンが生きていたなら私の発明に嫉妬し、脱帽し、そして私に弟子入りしたことだろう。
当初の予定では、キスマークを製造したのちに出勤し
「あれ、日田君。その首のアザはどうしたの?」
「アザ?あ!いつの間にあいつ…。タハーっ!!」
なんてことをするつもりだった。しかしそれをすれば、俺は俺が人ではなくなってしまうような気がして、ついぞ実行できなかったんだ。