ログインパスワード

職場でセキュリティ保持のためのログインパスワードの定期変更が実施された。これが実施される都度、新しいパスワードを考えなければならない。面倒なことよ。私はいつかウェブで見た、ホームポジションをずらすことにより難解なパスワードを作成する方法を試みる。結果、なかなかのパスワードが出来たようで、元のパスワードこそ知っているものの、ずらした後のパスワードがどうなったのか分からない。キーボードを前にして始めてパスワードが出るのだ。これはセキュアかもしれないが、しかしちょっと困ったことだ。
仮に私が私のコンピュータ内にあるデータを狙う秘密結社に捕えられたとしよう。当然、秘密結社は私のコンピュータのログインパスワードを吐かせるべく、私の指と爪の間に焼き串を差込んだり、爪を剥いだりと私を拷問することだろう。私も真のログインパスワードを覚えていないものだから、吐くに吐けない。秘密結社は私を口の堅い鍛え抜かれたエリートだと思うことだろう。だが実際は違う。パスワードを覚えていないだけなのだ。
そのうちに秘密結社は「強情なのはいいことだが、さて、お前の可愛い娘がどうなってもいいのかな?」と脅しにかかる。私は「後生だ、パスワードは教える…。だから娘だけは…!!」などともっともらしいことを言う。すると秘密結社は「ほう、ならば聞かせてもらおうか。パスワードとやらを!」とくる。当然、私は答えられない。そうして娘は殺されてしまうのだ。こんなことを考えながら連休を過ごしていた。