オムレツ日記


直径18cmのフライパンが欲しかった。部屋にある直径26cmのフライパンでは作るのにちょっと難儀するのだ。何を作るかと言えばもちろんオムレツだ。この頃の俺は呪われたかのようにオムレツばかり作っていた。毎朝決まった時刻になると卵を割り、フライパンを熱し、トントンとオムレツを巻く。俺の毎日はオムレツだ。そして、実際俺は呪われているのかもしれなかった。
「オムレツって人をダメにするのね」幸子が唐突に口を開いた。「最近のあなたってオムレツばかり。一体、オムレツの何があなたをそんなに夢中にさせるの?オムレツなんて、ただの卵じゃない。前のあなたはそんなじゃなかった。もっと尊敬できた。」オムレツに限らず、自分の興味のある物事を人に説明するのは難しい。
それでも俺が毎日オムレツを焼くのは、オムレツ作りが楽しいからなのだろう。フライパンをトントンし、オムレツが旨く巻けた時などはその日一日良い気分だ。画像はタンポポオムライス。もう少し上達したらビールとオムレツとホットサンドの店を開く予定。