書くなら売るな

古本は新品に比べて金額が安いのは何故だろう。多少汚れているからといって1,000円の本が105円になるのどうしてかな。中身は一緒のはずなのに。だって人も本も、大事なのは中身だろう?見た目だけで価値が決められるなんてあんまりだ。平常、私はそんなふうに考えていたものですが今日読んだ小説を思うと、やはり見た目も大事ではないかと考えさせられました。いつものように買ってきた古本を読もうと頁をめくったところ、私はぎょっとしました。頁の余白にメモが書かれているではありませんか。どうもメモは本のあらすじのようで、読み進んでいくとなるほどあらすじと分かりました。平仮名の多さからメモ書きしたのは小学四年生くらいかなと思いました。しかしあらすじだけではありません。本書のいたるところに大括弧やらラインマーカーやらルビやら沢山のメモ書きがありました。中には恩恵(おんえい)と付けられていて、はてさて間違えて覚えてしまったろうに、可哀想だなと思わせられるルビもありました。推測するに、これは読書感想文の下書きだったのではないでしょうか。私が昔書かされた読書感想文を思い返すと、感想を書くのが難しく、本のあらすじばかり書いていたのを記憶しています。メモ書きした小学生も同類で、あらすじばかり書いてしまったのはないでしょうか。ところでこの古本、私の本棚には収まりませんでした。古本屋に持って行こうにも、メモ書きがあるので躊躇ってしまいます。かといって燃やすこともできません。さて、どうしたものでしょう。