女心と晩秋の空

深夜にガールから電話がきまして、こんな夜更けに一体何の御用かな?などとドラクエの神父真似をしたところ「いや、別に用ってほどでもないんだけどさ。あんたなら電話の相手してくれるかなって思ってさ。」などと仰るのですね。では何ですか。私なら毎晩毎晩ひとり寂しく部屋で酒を飲んでいて、携帯電話など時計と目覚まし機能しか使ってないだろうから、電話したら喜んで話し相手になってくれるだろうとでも思ったのでしょうか。ふざけやがって!スケジュール機能だって使っています。久しぶりに電話機能が使えて嬉しいな。
それで最近どうなのよ?というような話をしていましたところ、唐突にガールから「今度飲みに行こうよ。」などと誘ってきたのですね。わたくし、驚いちゃいました。さては私の体目当てだな?と思いましたね。魚心あれば水心。仕方無い抱いてやるかと思いまして、仕事終わりに飲みに行こうぜ。都合のいい時に連絡くれよな。と言って電話を切りました。それから一週間経っても連絡はきません。そこで、早く飲みに行こうぜ。いつ行く?いつ暇?とメールしたところ「今日なら大丈夫。」と返信がきました。しくったぜ!今日は勝負パンツをはいてない!と思ったのですが、まあ脱げば関係ないかと思い直しまして待ち合せの新橋へ向かいました。
ガールと居酒屋へ。ビールを飲みながら最近どうなのよ?というような話をしながら、ガールと二人きりで飲みにくるのなんて初めてだなと気づきました。しかし君から誘ってくるなんて意外だな。今夜は寝かせないぜ?と発言したところ、「何言ってんの?あんたから誘ってきたんでしょ。」と仰るではありませんか。それは違う。それはおかしい。この前電話してきただろ。と言っても電話したことすら覚えていないようでした。そこで携帯電話の履歴を確認させたところ「ほんとだ。あんたなんかに電話してたんだ。薬の副作用で忘れたんだ、きっと。」と言うのです。理由を聞くと、不眠症睡眠薬に近い薬を服用していてその副作用で酩酊状態になるらしいのです。それでその時たまたま私に電話をかけたのだそうな。
お前、もうそんな薬飲むのやめろよ。だって、副作用で記憶が飛ぶなんて危なすぎる。そんなのに頼らなくても俺がいるだろ。そうだ、一緒に暮らさないか。仕事、辛いんだったら辞めてもいいし。なあに、お前ひとりくらいだったら俺の稼ぎでなんとかなるさ。家事?もちろん全部俺がやる。お前は病気治すのに専念すればいい。なあ、そうしろよ。お前のこと分かってやれるのは俺だけだよ。などと酔った勢いで喋ったところ、物凄い勢いで「店員さーん、お勘定!」とか叫ばれました。もちろん私が全額払わせられました。
それから外へ出て、次はホテルかなーとか思っていたら「今日は御馳走様。じゃあ、あたし明日朝早いから。さよなら。」と仰ってガールは去っていきました。どうして?