恐い話

帰りの電車内にて、私はいつものように妄想に耽りつつ吊革にぶら下がっていました。すると突如として股間に衝撃が走り「はわわわ!?」と勢いよく腰を引いてしまったのです。下を見ると男が雑誌を読んでおり、きっとその雑誌が何かの拍子に私の股間にぶつかったのだな、と私は思いました。
それにしても人に無礼を働いたにも関わらず頭も下げないとは。まったく親の顔をみてみたいよこの野郎!私はその男をきっ!と睨みつけたのでした。するとその男がニヤリと笑っているではありませんか。俯いて雑誌を読んでいたので、はっきりと表情を見たわけでないのですが、明らかに頬が歪んでいたのですね。
私は気味が悪くなり、乗換駅にてさっさと降りてしまったのですが、それにしてもあれはなんだったのでしょうか。もしかすると…いや、やめましょう。きっとただの妖怪だったのです。それしか考えられません。