寂しがりや

さよならを言おうと思いました。一緒にいることすら私にはもう我慢できないのです。お別れです。顔を上げて、ボリュームを最大にして言ってやるのです。しかし、いざ別れを告げようとするとなかなか言葉が出てきません。空気が1,050ヘクトパスカルの高気圧となって私を押さえつけるのです。
「さよならは駄目だよ。だってひとりは寂しいし。」
上司Aのその一言で沈黙は消え、そして今日も私は連れションならぬ連れ残業を強制させられたのです。そんで「帰ったって誰もいないんだから、会社で仕事してたって部屋にいるのと変わらないだろう。」などと言ったのですね。部屋には誰も…貴様すらもいないのだから早く帰りたいのだ!と喉から出かかったのですがなんとか飲み込み事なきを得たのでありました。