哀しみを胸に

半蔵門でカレーでも食べようぜ」
ことの発端は三井さんからのメールでした。週末が近づく度に休日の過ごし方に悩むが結局はひきこもる、いい歳した青年がすることではないな!と思い始めていましたので、諸手を挙げてその申し出に了解致しました。今思えば、この時に断っておけばあんな思いはしなかったのものを。
半蔵門に着くと三井さんはチャラいカフェでカプチーノを啜っておいででした。そのカフェのチャラいことチャラいこと。私がよく行くシャノアール等とは比にならないくらいのチャラっぷりで私は気後れしまくりです。早くも私は三井さんの申し出を受けたことに後悔の念を抱きつつありました。
そんで目的のカレーを食べに行きます。三井さんは店に入る前、「店員に面白いこと言ってね」と言うのです。「何故そのようなことをしなければならないのだろうか?」私の頭上にいくつも疑問符が出現しました。その疑問符をパンチして出てきたキノコを食べたらトリップできるだろうか?そんなマリオワールドを想像しつつカレー屋にダイナミックエントリーしました。

カレー屋でCQB

しかしそこはカレー屋ではなく、モテカフェ風の造りで、そのあまりのチャラっぷりに私は危うく鬱死してしまいそうになりました。三井さんはというと、店員さんとフランクに話しておりました。何度か来たことがあるのか?そう思いつつ一番奥の席に着きます。
すかさず店員さんがメニューとウォーターを持ってきました。「何を食べようかな」私が迷いつつ顔をあげると三井さんがニヤニヤしていました。店員さんもニヤニヤしていました。むむ、なんだなんだ、一体どうしたと言うのだ?私がまたしても頭の上にキノコを出していると三井さんが店員さんを指差しつつ言いました。
「これ、俺の彼女」
ぎゃあ!私は突如受けた精神的致命傷のために思考回路が停止寸前、目の前で何が起こっているのか理解できずにただ唖然としていました。
「彼女にid:hitasanの過去(カルピス偽装事件や担任病院送り事件)を話したら、会いたいって言うんで来てもらったんだ」
と三井さんは言いました。そこでようやく三井さんの言動の謎も解けたのです。すると何か?私は三井さんの彼女の前で道化を演じるためにはるばる半蔵門まで来たっていうのですか?所詮三枚目は道化でしか生きる道はないのですか?そうは思っても顔で笑って心で泣いて、丁度ピエロが涙のフェイスペインティングをするかの如く振る舞うしかありません。
しかしアベックにはそんな私の抑鬱気遣いも伝わらないようで、目の前でイチャイチャにゃんにゃんです。哀しみ。結局、こんな哀しみだけが広がって私を押しつぶしていくのだな!「くそっ、酒だ!酒を持ってきやがれってんだ!」私は三井さんの彼女に言い放ちました。その時の私には抗鬱剤(アルコール)が必要だったので仕方ありません。

酒は救いであり、逃避である

そんで昼間からビールを三杯がぶ飲みです。昼間から酒を飲むのは正月以来でしたが、しかしいい気分です。酔ってくると、目の前のアベックを見たところで「良かばい良かばい」と何故かそこで九州男児に変身して全てを許せてしまうのですね。しかし三井さんのお惚気にゃんにゃん話は続き、私を確実に鬱死に追いやるのでした。心の中で泣くしかありません。えーん。
あと、お会計の時に三井さんの彼女の気遣いでアルコール代をタダにしてもらえました。が、残り全ては私が負担しました。私が割り勘にしようとすると、「金持ってんだから払っておけよ」と三井さん。これは結婚資金に貯めているから駄目だよ!と言ったのにも関わらず、「どうせ結婚なんかできやしねえだろ!」と、財布から四千円を抜き取られてしまいました。矢張り泣くしかありません。えーん。

猫足リセット

そういえば私が子供だった頃、ファミコンをしているとどこからともなく猫がやってきて、リセットボタンを踏まれ悶絶したものですが、あの猫が今もう一度私の目の前に現れて、人生のリセットボタンも踏んでくれないだろうか?などと思いながら今夜もアサヒスーパードライを飲み干すのでありました。