ちょっと前

ちょっと前まで姉と甥二人、私の部屋で寝泊まりしていた。被災後、その日食べる物にも困っている有様だというので、それならと私の部屋にきてもらった。それからというもの、仕事から帰ると部屋に明かりが灯っており、ただいまと言うとおかえりの声。姉は晩ご飯の支度をしていてくれ、私は毎晩温かいご飯を食べることができた。問題は甥達で、私の晩酌の肴—香の物や焼き海苔—を飢えたハイエナの如く奪っていく。おいおい甥達よそれは私の肴だぜ。言ってもおかまい無しで奪っていく。全く困ったものだった。それが今や肴を奪うハイエナ達はいない。仕事が始まると言う姉と一緒に被災地へ帰ってしまった。
晩酌時に肴を奪われなくなったけれど、今となってはそれがちょっと寂しい。