雪の日の思い出

カーテンを開けると雪が降っていたのでちょっぴり嬉しくなりました。出勤し、席に着くとみんな窓の外を見つめながら、雪だ雪だ、すごい降ってるね、積もるかな、と騒いでいました。私はコーヒーをすすりながら、窓の外を沈んでいくぼた雪をぼんやり眺めます。そういえば、あの日もこんな雪が降っていたっけ。
暮れに国に帰った日に降り出した雪は、ゆっくりと、しかし止むことなく降り続けた結果、ちょっとした積雪になりました。私は例によって甥たちの子守りをさせられ、肩車してだの、高い高いしてだの彼らの過酷な要求に応えていましたが、次第に体力の限界を感じ、トイレに行くふりをし家の外の軒下へと退避しました。外は辺り一面雪だらけでなんだか幻想的光景です。遠くに見える国道は、暮れということもあってか走る車が少なく、走行音は全く聞こえません。それにしても静か過ぎる。いつもなら車が一台走る走行音だって聞こえてくるのに。そういえば、雪は辺りの音を吸い込んでくれるんだっけな。だから雪の降る日は静かなのかなと、ぼんやり国道の灯りを眺めていました。しばらくすると家の中から、おいたんどこ、おいたん出てきてと、私を探す甥たちの声が聞こえてきました。まったく、人気者は辛いぜ。と思いつつ家の中に戻ります。はいはい、おいたんはここにいるよ。まったく君らときたら甘えん坊なんだから。え、また高い高いしたいの?あれは体力使うからひとり一回だけだからな。