ゴキブリチャーハン

ゴキブリ混入事件を聞いて思い出した話。当時の私は中学二年生でした。家庭の事情から姉Bとふたり、祖母の家に厄介になっておりました。ある日の昼飯時、祖母がチャーハンを作ってくれました。「ばあちゃん、チャーハン作るの得意なんだ。腕奮って作ったげる。」そう意気込んで祖母は台所へ。果たせるかな。しばらくしてチャーハンが盛られた皿を手に祖母がやってきました。
祖母は皿を卓上に置くと「たんと召し上がれ。」と、得意げな顔をして言い放ち、お茶を取りに台所へ戻りました。ようやっと飯にありつけるな、と皿に目をやるとチャーハンの隅に黒い塊があります。こいつはなんだ?よくよく見るとゴキブリではありませんか。ひ、ひぎぃ!姉ちゃん、これ見てくれよ。私は黒き塊を指差します。姉はそれを見て目を丸くし、私の顔を一度見てから、祖母の皿と私の黒き塊が添えられた皿を素早く取り替えました。なるほど。流石は我が姉ぞ、と誇らしく思いました。
その後のことはよく覚えてないのですが、確か祖母の皿は空になっておりました。もしかして、アレ、食べちゃったのかな。それともこっそりゴミ箱に捨てたのかな。今となっては確認するすべがありません。それよりも大事なのは、その黒き塊がいつ投入されたかです。調理の初めから投入されていたなら、私と姉はゴキブリエキス配合のチャーハンを食べさせられたことになります。でも、黒き塊は五体満足な躯体でしたので、チャーハンが盛られた後に誤って混入したのです、きっと。いや、ぜったい。