甥と俺

「ねえ、いつ帰ってくるの?」
「早く帰ってきなよ。」
姉Bがあんまり言うものですから、帰郷して姉Bの家を訪問してきました。それで姉Bに会って話すのは構わないのですが、問題は甥たちです。「おいたん遊んでえ!」と甥たちが私にまとわりつくのです。え、嫌だよ。おいたん、長旅で疲れてるの。さあさあ、テレビでも観ておとなしくしてなさいね。と適当なDVDを再生して誤魔化します。それでも甥Aは「おいたんと一緒に観る!」と言って私の胡座上に座ってテレビ鑑賞です。甘えんぼうめ。あと、ドラマ・フルハウスの影響で私の呼称は「おいたん」です。
そうこうしているうちに、姉Aがやってきました。姪と甥Cも一緒です。私は照れて逃げる姪を捕まえて、なあ、まだ俺のこと好きなんだろ?将来は嫁にもらってやるから、早く育ってくれよな。と愛を確かめます。ところがどうです。「嫌い」と言って、私の手を振りほどき逃げるではありませんか。どうして?聞けば最近保育園に来たイケメン保育士にぞっこんラブなんだそうな。くそっ、結局顔か!わたくしは嫉妬のあまりハンケチを噛みちぎります。
そうこうしているうちに姉A・Bは晩御飯の準備に取りかかります。こうなるとカオスです。私ひとりで甥たち4人の面倒を見なくていけません。面倒だ、と子守りを放置し本を読もうとするも「おいたん遊んでえ!」とじゃれてくるのです。仕方無い。少しだけだぞ。何して遊ぶ?え、また空中に放ってほしいの?無理だよ。俺、もう年だし。最近、ビールジョッキより重いもの持てないんだ。でも、甥Aも成長したもんだな。姉ちゃん、甥Aの体重いくつ?え、18kg?尚更無理。おまえ、米袋より重いじゃないか。と拒否したにも関わらず甥たちが必死に哀願するので、仕方無く放り投げる私です。御陰で背骨が折れました。
そして晩御飯です。甥Aは「おいたんと一緒に御飯食べる!」と、相変わらず私にくっついての御飯です。食事中も「今日はおいたんと一緒に寝る!」なんて言っていて、とことん甘えんぼうです。しかし甥Aについて考えてみると、父親はおらず、母親は厳しく、しかも甥Bに母親をとられてしまって、まだ幼いのに甘える人がいないのですね。うんうん。いいよ。今日くらい、俺に甘えなよ。なあに、たまにしか会えないんだし、遠慮することないよ。と好き勝手やらせていたら、ハサミで私の髪を切られてしまいました。ひ、ひぎぃ!