新宿→130円

仕事帰り。改札に向かい歩いていて、隣を歩くガールがこちらを凝視していることに気づく。私がセクシーだからといってそんなに見つめられたら流石に照れてしまうぜ?と思っていると、どうも私を見ているのではなく、もっとどこか遠くを見ていることに気づいた。
それから腰の位置まで持ち上げている手が目に入った。手には切符を持っており、切符には「新宿→130円」と印刷されていた。おかしいな、どうも清算券ではないようだ。新宿から130円だと料金不足のはずだが。そんなことを考えているうちに改札までガールは到着し、案の定電子音が鳴りトビラは閉まる。するとガールはトビラが閉まりきるわずかの隙をするりと抜けて、そのまま夜の闇へと消えてしまった。