春はあまりにも悩ましげ

日増し薄桃色に染まっていく車窓。膨らんでいく花はまるで果実の如く枝をしだれさせます。
目下にはガール。胸元が大きくあいたシャツは前傾姿勢もあいまって、その内をチラリチラリと覗かせるのです。
「おや、こんなところにも春が。」
私はずれた眼鏡をかけ直し、思いがけず訪れた春に胸躍らせるのでした。