新入りと俺とキリンラガー

仕事も一段落したので新入りと二人で焼き肉を食べてきました。「この仕事が終わったら、きっと飲みに行こう…」と話したのが夏のこと。ようやっと実現したのが大寒も差し迫ったこの頃ですから、本当に会社というところは恐ろしいところだなあと新入りと二人で天を仰いだ次第です。
それにしても新入りと二人で食事するだなんて初めてのことです。食事後に「そのつもりでここまで来たんだろう?」なんて言われつつホテルに連れ込まれでもしたらどうしよう?そんなつもりじゃないのに!でも…いいよ?なんて、きゃっ!あたしってば何考えてるの?ばかばか!などと妄想したりしなかったり、豚トロを焼いたり、キリンラガーを飲みました。
新入りはいつになく弱々しく話します。「時々、僕が必要無い人間なんじゃないかと思ったりするんです。僕がいなくても上司や日田さんで、僕の仕事くらい片付けてしまいそうですし。それから今日与えられた仕事だって、一人でできるかどうか不安で…」私は昔した級友との会話を思い出しました。
「級友にラグビー部で体格の良い奴がいてね、そいつに『私なんか小柄だし、ラグビーなんてとてもできないよな』と言ったことがあるんだ。そうしたら、ラグビーには私のような小柄な体格でも務まるポジションがあるから問題無いと言うのだね。なるほど、そりゃあ上司や私は君の受け持つ仕事はできるだろう。でも上司や私が君の仕事をしたなら、誰が上司や私の仕事をするのかな。それに、今の君にしかできない仕事もあるよね。つまりはそういうことなんじゃないかな。それから…」私はキリンラガーを一口飲んで言いました。
ラグビーでも仕事でも、肝心なのはトライすること。そうだろう?」