裏切りです

友人Aと若者の街シブヤを歩きながら人生の儚さについて話し合っていたところ、どこからともなく「裏切りです」という女の声が聞こえてきたのです。「修羅場か」と友人A。む、どこだどこだ?と辺りを見回したところ20時の方向にそれらしき男女を発見したのです。
女はフォーマルな服装でおそらく40代、男はラフな服装でおそらく20代という組み合わせで、穏やかではない空気が半径2メートルに漂っておりました。「仕事でトラブったんじゃないか」と友人A。そうだろうか?それにしても男は一体何を裏切ったのだろうか?くそっ!ワクワクがとまらねえ!「おい相棒、今からきゃつらの側に言って会話を盗み聞きするが構わないよな?」「了解。」
そんで男女の側で休む振りなどしながら聞き耳をたてていたのですが、会話の内容はさっぱり聞こえませんでした。仕方無くその場を離れまして焼鳥屋で砂肝をかじりつつヱビスビールを飲んだのですが、会話のネタといえば先ほどの男女のことばかりなのですね。私はすっかり気に入ってしまったのでしょう、裏切りです!裏切りです!と叫んでばかりいました。したらば友人Aも調子を合わせて「も、もしかして裏切りですかあ?」と言うので「YES YES YES YES YES」と返して二人で盛り上がっておりました。
それにしても男女の諍いというものはどうしてあんなにも興味をそそられるのでしょうね。何故奥方が昼メロに夢中になるのか、ということがちょっとだけ分かった気がします。