心を捨てに

駅のホームにトグロを巻いたアレがあったのですが、あんな目立つところで行為したなら相当数の人に最中を見られたことでしょう。果たしてその者の正体や如何?人間なのか?もしかしたらヌエかもしれないな、私は思いました。何にせよ人の心を持った生き物でないことは確かです。
私は嫉妬します。そんな行為、私には到底できません。ということは何か?私は未だ人間だった時分の心を捨てきれずにいるというのか。これはいけない。私は慌てて新宿にあるクラブ「女王蜂」へ向かうのでした。クラブ「女王蜂」では誰もが畜生の如き扱いを受け、誰もが人間の心を捨てることができるのです。
「この豚野郎、また痛めつけられにきたの?いいわ、お鳴き!」
言うが速いか手に持つ革鞭の空気を切り裂く音が聞こえ、脇腹に激痛が走りました。
「あ、あ、痛い痛い(もっと強くしてくれてもいいのに…)」
私は喘ぎつつ悶え苦しみます。しかし女王様は全てお見通しです。
「おやおや、革鞭は気に入らなかったようだな。いいわ、次はこれよ!」
そう言うと女王様は鉄鞭を手に取り思い切りそれを振り下ろしました。それは背中の肉が切り裂かれんばかりの激痛で、ひ、ひぎぃ!私は恍惚とした表情で床をのたうち回るのでありました。