雷雨のち赤色矮星

朝起きたら雨が降っていた。土砂降りの雷雨だった。私は狼狽しつつも身支度を整えて部屋を出た。その頃には雨脚も弱まっていた。
仕事はだいぶ慣れた。人間関係も軽い冗談なら言い合える程度に良好だと思う。不満があるとすれば勤務時間だ。つまり日付が変わるまでは帰ることできないのだ。それでも職があるだけありがたい、と自分を騙すように言い聞かせる。
何とはなしに、18時30分頃に外の風景を見た。空やビルが、子供がめちゃくちゃに赤絵の具で塗りたくったかのように、デタラメに赤かった。夏だった。その時に季節を実感した。
夕焼けでデタラメに赤い街を、瓶ビールの入った買物袋を持って家路に着く私を、子供が家の前で待っている。そのデタラメな夕焼けで、私の顔も、子供の顔も、出鱈目に赤く染まっていた。
そんな人生もあったかもな、と思いながら、暗くなるまでそのデタラメな風景を眺めていた。それから仕事に戻った。